内申点(ないしんてん)は、高校受験の合否判定を左右する非常に重要な数値です。
ここでは東京都の中学校の内申点について詳しく解説します。高校受験を控えた中学生のみなさん、ぜひ参考にしてくださいね!
内申書・内申点とは|中学校の内申って大事なの?
「内申書」は受験する高校に提出する重要な資料
「内申書」とは、中学での学習成績や学校生活の記録をまとめた書類のこと。学校や地域によっては「調査書」と呼ばれることもあります。
中学3年時の担任の先生がおもに作成し、高校受験の際に生徒が受験する高校に提出されます。
内申書に記載されるのは、おもに以下の項目です(学校によって異なります)。
- 内申点
- 出欠記録(欠席日数・欠席理由など)
- 特別活動(委員会、生徒会、学校行事など)
- 部活動
- 総合所見(学校活動全般、英検・漢検などの資格取得など)
内申書は公立高校の一般・推薦入試はもちろん、私立高校の入試でも選考資料として使われることが多く、高校受験の合否判定に大きく影響するとても重要な資料だと言えます。
「内申点」は内申書に記載する教科の成績数値
「内申点」とは、中学で学習する9教科の成績を高校入試用に点数化したもので、先に説明した内申書に記載されるとても重要な数値です。9教科:国語・数学・社会・理科・英語の主要5教科 + 保健体育・音楽・美術・技術家庭の実技4教科
内申点の計算方法は都道府県によって異なる!
9教科の成績(5段階)を単純に足しあげた数値(5段階×9教科=45点満点)を「素内申点(調査書素点)」、また素内申点を元に各都道府県で定められた計算方法で算出した数値を「換算内申点」と呼びます。
実際の公立高校入試で使用される内申点は「換算内申点」になります。換算内申点の計算方法は、都道府県によって異なるので十分注意しましょう(私立高校入試では、学校によって内申点の計算方法が異なります)。
また内申点は中学3年時の成績をもとに算出するのが一般的ですが、都道府県によっては中学2・3年時、または中学3年間の成績が使用される場合もあります。自分の住んでいる都道府県の内申点ルールをしっかり把握しておきましょう。
東京都公立高校入試における『内申点』の計算方法は?
東京都では「中3の2学期末の成績」が内申点になる!
東京都では、中学3年の2学期末(12月)にもらう通知表の成績が高校入試の内申点として使われます。
2学期の成績といっても、2学期の成績には当然1学期の評価も含まれます。なので、中学3年に進級した4月から内申点が出る12月までの総合評価だと認識しておきましょう。
*前期・後期制(2学期制)を採用している学校では、通知表をもらうタイミングは通常年2回(9月・3月)ですが、中学3年時のみ、後期の中間テスト(11月頃実施)が終わった後に高校入試の内申点で使用するための成績(評定)が提示される場合が多いです。ただし学校によって異なるため、しっかり確認しておきましょう。
計算方法は「素内申点▶︎換算内申点▶︎調査書点」の2ステップ
東京都の公立高校入試で使用される内申点の計算方法は、かなり特殊です。まず「素内申点」を「換算内申点」に換算し、さらにその数値を「調査書点」に換算します。
最後の「調査書点」が実際に高校入試の合否判定で使用される数値になります。やや複雑なので、しっかり確認しておきましょう。
素内申点 ▶︎ 換算内申点 の計算方法
まずは素内申点(通知表の5段階評定)をもとに換算内申点を計算します。
まず国語・数学・社会・理科・英語の主要5教科は、通知表の評定の数字をそのまま足します。オール5の場合は25点になります。
次に音楽・美術・保健体育・技術家庭の実技4教科は、通知表の評定の数字を足してから2倍します。オール5の場合は40点になります。
最後に5教科と4教科を足します。オール5の場合は、25点+40点で65点になります。この数字が換算内申点となります。
換算内申点 ▶︎ 調査書点 の計算方法
東京都の公立高校入試の場合、この換算内申点の数値をさらに300点満点に換算して使用します。
この300点満点に換算した数値は一般的に『調査書点』と呼ばれ、高校入試の合否判定の際に使用されます。
換算内申点を調査書点に換算するには、まず換算内申点を65で割って(÷)、その数に300を掛けます(×)。
CHECK!
東京都では実技4教科の成績が内申点に大きく影響する!
東京都公立高校入試で使用する内申点は、実技4教科の成績がかなり大きく影響します。
下の図を見比べてもわかる通り、主要5教科が得意でも実技4教科が苦手だと、内申点はどうしても伸びません。反対に5教科が苦手でも実技4教科が得意だと、内申点は高くなります。
5教科が得意・実技4教科が苦手
5教科が苦手・実技4教科が得意
実技4教科は5教科に比べると定期テストなどでも勉強の優先順位が低くなりがちですが、4教科が苦手な人は、定期テスト対策に力を入れるのはもちろん、日頃の授業態度や提出物などでしっかりとカバーすることが大切です。
東京都公立高校入試における『内申点』の影響度は?
合否判定への影響度は学力検査7割・内申点3割
東京都の公立高校入試では、以下の3つを合計した総合点(1020点満点)で入試の合否が決まります(公立高校の一般入試ではこの総合点を点数順に上から並べて定員人数までが合格者となります)。
- 学力検査(入試)700点満点
- 内申点(調査書点)300点満点
- スピーキングテスト 20点満点 *令和5年度入試より追加
*学力検査の点数(100点×5教科=500点満点)は、700点満点に換算して使用します(換算式は「学力検査の点数 ÷ 500 × 700」)。たとえば学力検査の点数が350点だった場合は、「350 ÷ 500 × 700 = 490」で学力検査の換算点は490点になります。
このように、高校入試(合否判定)への影響度は、入試本番の学力検査が約7割、内申点が約3割ほどです。内申点はかなり大きな影響度を持つということがわかりますね。
▼東京都スピーキングテストの詳しい情報はこちらのブログ記事で解説しています。ぜひチェックしてくださいね。
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内申点1点分は学力検査(入試)のだいたい何点分?
内申点の1点分は、東京都の公立高校入試においてどれくらいの価値を持つのでしょうか。ここでは内申点1点分を学力検査(実際のテスト)の点数におきかえてみたいと思います。
内申点1点分を学力検査の点数におきかえると、おおよそ下記の点数になります。*ここでいう内申点は「素内申点」を指します。つまり通知表の5段階評定の数字です。
- 5教科の内申点1点分 = 学力検査の3.3点分
- 実技4教科の内申点1点分 = 学力検査の6.6点分
つまり、5教科と4教科それぞれ1つの教科で、内申点(通知表の評定)が『1』ずつ上がれば、約10点もの点数が高校入試の総合点として確保できるというわけです。
入試本番で普段より10点多く点を取ろうとするのはなかなか至難の業ですが、内申点を1上げるのは地道に努力を続ければそこまで難しい話ではありません。
入試本番をリラックスして迎えるためにも、内申点の確保はとても重要です。これから受験を迎える中学生はぜひ内申点アップに努めましょう。
算出の根拠
素内申点(通知表の評定)の1点分を調査書点(300点満点)に換算すると以下の点数になる。
- 5教科の場合:
5教科の調査書点は素内申点の約4.6倍なので
素内申点の1点分は調査書点300点のうちの『4.6点分』に相当する - 実技4教科の場合:
実技4教科の調査書点は素内申点の約9.2倍なので
素内申点の1点分は調査書点300点のうちの『9.2点分』に相当する
この点数は調査書点300点の場合の数値であり、学力検査でいうと換算点700点の場合の数値になる。
学力検査の素点(実際のテストの点数)は、500点満点を1.4倍して700点満点に換算するので、上で算出した点数をそれぞれ1.4で割れば、実際の学力検査の点数に換算できる。
よって、素内申点(通知表の評定)1点分を学力検査素点におきかえると、以下の点数になる。
- 5教科の場合:
4.6 ÷ 1.4 ≒ 3.3
5教科の内申1点分 = 学力検査の3.3点分 - 4教科の場合:
9.2 ÷ 1.4 ≒ 6.6
実技4教科の内申1点分 = 学力検査の6.6点分
内申点の対策|内申点を上げるにはどうしたらいい?
内申点を上げるためには、成績(通知表に記載される5段階評定)を上げることが必要です。
中学校の成績は、定期テストの点数だけでは決まりません。学校生活における日頃の学習に対する姿勢や努力、成果なども評価の対象になります。
中学校では3つの観点で学習状況を評価される
中学校では、生徒のどのような点を見て学習を評価すべきか、「評価の観点」というものが決められています。
評価の観点は3つあります。この評価の観点は、9教科すべて共通です。
評価の観点は3つ!
- 知識及び技能
定期テスト、小テスト、各種課題、レポート、実技テスト、作品制作など - 思考力、判断力、表現力等
定期テスト、各種課題、授業観察、実技テストなど - 主体的に学習に取り組む態度
各種課題、授業観察、ノートなど
*令和3年度から中学校における新学習指導要領が完全実施され、評価の観点がこの3つに定められました。
参照元:文部科学省 新学習指導要領の全面実施と学習評価の改善について(P40〜47)
この3つの観点で生徒の学習状況を評価し、その達成度によって成績(5段階評定)が決まるというわけです。
なので、定期テストの点数が良くても、授業態度が悪かったり提出物を期限内に出さなかったりしていたら、当然成績は下がってしまうということです。
内申点を上げるために今すぐやるべきこと
3つの評価の観点をふまえると、内申点を上げるためには定期テストで良い点を取るのはもちろんですが、以下に挙げたような日々の努力も必要不可欠です。
- 小テストに真剣に取り組む(定期テストと同じくらい)
- 課題やレポートなどは手を抜かずに丁寧に仕上げる
- 提出物は決められた期限までに必ず提出する
- 授業は真面目かつ積極的に取り組む(発言など)
- 分からないところがあったら教科担当の先生に聞きに行く
たとえば体育や美術など実技がとても苦手な人でも、実技テスト以外の部分でしっかり努力すれば、その姿勢や意欲が評価されて、高い評定がつくこともあります。
苦手な科目があったとしても、どうせ無理だと諦めずに、日々の努力を重ねていくことで内申点アップを目指しましょう。
公立中学校の評価方法は「絶対評価」
成績の付け方には、おもに「絶対評価」と「相対評価」の2種類があります。
- 絶対評価とは?
決められた評価基準に照らし合わせて成績を決める評価方法。集団内の順位ではなく、個人の点数や達成度によって成績が決まる。各評定(1〜5)に対する人数に制限はない。 - 相対評価とは?
他者との比較によって成績を決める評価方法。集団内の順位で成績が決まる。各評定に対する人数に制限がある(たとえば「評定5」は生徒全体の何%と決められている)。
現在の公立中学校における成績の付け方は・・・『絶対評価』です!
生徒個人の学習の達成度で成績(5段階の評定)が決まります。つまり頑張れば頑張っただけ高い評定が狙えるということです。教科ごとにしっかり目標を決めて、それに向けて頑張りましょう。
*公立中学校の成績の付け方は、今から20年ほど前までは「相対評価」でしたが、現在では「絶対評価」に統一されています。保護者世代の中学時代とは評価方法が変わっているので注意してくださいね。
高校入試に向けて内申点アップを目指そう!
いかがでしたか?
公立高校入試は、入試テストの点数のみで合否が決まるわけではありません。都道府県によって地域差はありますが、内申点も重要な合否判定の材料になります。
入試本番で思ったより点が取れなくても、内申点が良かったので合格というケースはよくありますし、また反対に、入試はうまくいったけど内申点が足りなくて不合格とケースもあります。
内申点は、高校入試を有利に進めるための武器になります。
また、内申点を取るために頑張った日々の努力は、入試本番のテスト結果にも必ず繋がってくるでしょう。
高校入試における内申点の重要性をしっかり認識し、これからの中学校での学習活動に活かしてくださいね!
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