このブログ記事では、高校2年・1年間限定の「地域みらい留学365(高2留学)」について詳しく解説します。
2022年(2023年春進級)の参加高校、偏差値の目安、費用など最新情報も紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね!
地域みらい留学には2種類ある!
『地域みらい留学』とは、自分が住んでいる地域以外の公立高校に留学できる国内留学制度です。
留学できる地域の多くは、いわゆる地方の田舎町。過疎や少子高齢化などで子どもの数が減少している地域ですが、自然や歴史、人との触れ合いなど、都会ではなかなか体験することができない貴重な教育的価値がある地域でもあります。
地域みらい留学には大きく分けて2種類あります。
1つは、高校2年の1年間だけ国内留学する「地域みらい留学365(高2留学)」です(今回このブログ記事で紹介する留学制度)。
もう1つは、高校3年間を地方の高校で過ごす「地域みらい留学 高校進学」です。「地域みらい留学 高校進学」ついては、こちらのブログ記事で詳しく解説しています。地方の高校への進学を検討している中学生は、ぜひチェックしてくださいね!
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地域みらい留学365(高2留学)とは?
地域みらい留学365(高2留学)は、高校2年生の1年間だけ地方の高校に留学できる国内単年留学制度です。1年間=365日間の国内留学なので、地域みらい留学365という名称が付けられています。
中学卒業後に高校に入学、高校1年次はそのまま入学した高校(在籍校)に通い、高校2年の1年間だけ地方の高校に国内留学、そして高校3年次にはまた元の高校(在籍校)に戻る、という流れになります。
高校2年次は入学した高校(在籍校)とは別の高校に通いますが、留学中も生徒の籍は在籍校に置かれたままで、留学先の高校で学んだ科目の単位は在籍校でも認定されます。
memo
地域みらい留学は、内閣府による『高校生の地域留学推進のための高校魅力化支援事業(*)』として2020年度にスタートしたプロジェクトで、運営や事務局は一般財団法人「地域・教育魅力化プラットフォーム」が担当しています。
*将来的な関係人口の創出・拡大を目指し、高等学校段階における「地域留学」を推進するため、全国から高校生が集まるような高等学校の魅力化に取り組む地方公共団体を支援する事業。
地域みらい留学365(高2留学)のメリット&デメリットは?
地域みらい留学365(高2留学)のおもなメリット
自然や文化に恵まれた環境でのびのびと学べる
留学先のほとんどは地方の田舎町なので、都会にはない本物の自然に囲まれてのびのびと高校生活を送ることができます。
地域によっては、スキーやカヌー、神楽など、その土地ならではの自然や文化を活かした部活動を行っている学校もあります。
少人数教育でチャレンジングな環境
地域みらい留学の参加校は、都会とくらべて生徒数が非常に少ない学校がほとんど。人数が少ない分、必然的に生徒一人ひとりが活躍できる場や役割を持つ機会が多くなります。
マンモス校の中ではチャレンジできなかったことも、留学先なら挑戦できるチャンスが得られます。
精神面で成長できる・自律心が育つ
留学中は基本的に、寮や下宿での生活になります。
家族や親元を離れ、仲間や地域の人などさまざまな人と一緒に過ごすなかで、おのずと責任感や自律心、思いやり、コミュニケーション能力などが育まれます。
視野が広がり多様な価値観が醸成される
留学先の地域では、高校という限られたコミュニティだけでなく、近隣の小中学校や地域住民などさまざまな人々との出会いがあります。
また、留学前後には留学生を集めて研修が行われるため、全国の留学生と交流することができます。
多くの人と触れ合うことで、自身の世界や視野は広がり、多様な価値観を得ることができます。
地域みらい留学365(高2留学)のおもなデメリット
大学受験を目指す人は相当の努力が必要
地域みらい留学の参加校は、地域の人だけでは定員が埋まらない高校がほとんど。なので、入学難易度の目安となる学校の偏差値はどうしても低くなります。学校の授業も大学受験を意識したものではなく、塾や予備校などの受験対策施設も周囲にない場合が多いでしょう。
大学進学を目指す人にとって、受験対策という面では適した環境とは言えませんが、本人のやる気さえあれば独学で取り組むことはもちろん可能です。
学校の先生に個別にフォローをお願いしたり、現在ではオンラインの塾や予備校など通わなくても学習できるサービスもたくさんあるので、そういった学習サービスをうまく活用するのも良いでしょう。
履修科目や単位の調整が必要
高校を3年間で卒業するためには、高校3年間のうちに学校が定める科目・単位数を取得する必要があります。
3年間同じ高校で学ぶ場合は、その学校の教育課程(何年次に何の科目を何単位分行うか)にのっとって授業を受ければ問題ありませんが、教育課程は学校によって異なるため、地域みらい留学を検討する際は、履修する科目や単位などの調整が必要になります。
在籍校で高校2年次に履修すべき科目が留学先の高校でも取れるかどうか、また反対に、すでに在籍校で高校1年次に履修した科目が留学先の高2で重複しないかも確認が必要です。
基本的には高校3年間で卒業できるよう在籍校と留学校の間で調整がなされますが、大規模な調整が必要な場合もあるので、できるだけ早めに相談しましょう。
地域みらい留学365 留学中の生活はどんな感じ?
留学中の生活スタイルは、留学する学校によって異なります。住居や食事は留学生活の満足度を大きく左右するので、自分に合ったタイプを選ぶことが大切です。学校を検討する際にしっかりチェックしましょう!
住む場所・部屋タイプは学校によってさまざま
住む場所(住居タイプ)の種類は、主に ①学校の寮、②下宿(地域の民宿・寄宿舎など)、③ホームステイ(地域住民の家など)の3つになります。
数としては、過去の実績を見ると寮と下宿が大半で(半々くらい)、ホームステイはごくわずかといった感じです。
また、部屋タイプ(暮らしタイプ)は、個室または集団のいずれかになります。
住居や部屋のタイプは、留学先の学校によって異なります。寮のみ、下宿のみ、個室のみ、集団のみの学校もあれば、寮または下宿、個室または集団を選択できる学校もあります。
食事は朝・昼・夕の3食提供のところがほとんど
気になる食事ですが、ほとんどの学校(住居)で毎日、朝・昼・夕の3食(昼は給食・弁当など)が提供されます。
学校(住居)によっては土日のみ2食だったり、また数は少ないですが自炊が可能なところもあります。
ハウスマスターやまち親が留学生の生活をサポート
学校や住居によっては、留学生の住まいや身の回りのサポートをしてくれる人(ハウスマスター、まち親、島親など)を設置しているところもあります。はじめての寮・下宿生活が不安な人は、このようなサポートがいる学校を選ぶと安心です。
地域みらい留学365(高2留学)をするのにかかる費用は?
留学生活に必要な費用は、おもに以下の3つです。
住居費 | ・月額1〜7万円程度 ・月額3〜5万円のところが多い ・住居費の補助が出る地域もあり |
食費 | ・住居費に含まれる場合が多い ・朝昼夕で細かく設定しているところもあり |
光熱費 | ・住居費に含まれる場合が多い |
費用の額は学校(住居)によって異なりますが、住居費・食費・光熱費合わせて『月額4〜5万円ほど』が目安。一見高い気もしますが、都会で過ごす費用(予備校代・交友費・食費・交通費など)を考えれば、意外とリーズナブルに生活できることがわかります。
また、学校によっては住居費が無料だったり、地域によっては町や村から補助金が出るところもあります。留学費用を極力おさえたい人は、そういった学校を候補にすると良いでしょう。
地域みらい留学365(高2留学)できる高校は?偏差値はどのくらい?
2022年(2023年春進級)地域みらい留学365の参加高校は、北は北海道から南は鹿児島まで、9道府県・16校あります。
ここでは、2022年(2023年春進級)の参加高校、偏差値の目安、募集定員を紹介します。また各学校のWEBサイト(学校名をクリック)では学校の詳細情報や雰囲気などが確認できるので、あわせてチェックしてみてくださいね。
*2022年6月6日現在の情報です。
*募集定員は変動する可能性があります。学校HPや地域みらい留学ウェブサイト等で最新の情報を確認してください。
*偏差値の目安は、学習情報サイト「みんなの高校情報」や「高校受験ナビ」等を参考に記載しています。
2022年 地域みらい留学365 参加高校・偏差値・募集定員一覧
北海道(3校)
学校名 | 偏差値 | 募集定員 |
鵡川(むかわ)高校 | 39 | 2人 |
幌加内(ほろかない)高校 | ー | 4人 |
斜里(しゃり)高校 | 42 | 3人 |
岩手県(1校)
学校名 | 偏差値 | 募集定員 |
葛巻(くずまき)高校 | 38 | 2人 |
山形県(1校)
学校名 | 偏差値 | 募集定員 |
小国(おぐに)高校 | 38 | 2人 |
石川県(1校)
学校名 | 偏差値 | 募集定員 |
能登高校 | 37-40 | 3人 |
三重県(1校)
学校名 | 偏差値 | 募集定員 |
昴(すばる)学園高校 | 40 | 4人 |
島根県(5校)
学校名 | 偏差値 | 募集定員 |
隠岐島前(おきどうぜん)高校 | 39 | 2人 |
隠岐高校 | 38-41 | 4人 |
津和野高校 | 45 | 2人 |
三刀屋(みとや)高校 | 37-49 | 1人 |
大東(だいとう)高校 | 46 | 1人 |
高知県(1校)
学校名 | 偏差値 | 募集定員 |
嶺北(れいほく)高校 | 36 | 2人 |
宮崎県(2校)
学校名 | 偏差値 | 募集定員 |
高千穂高校 | 40-47 | 2人 |
飯野(いいの)高校 | 42-46 | 5人 |
鹿児島県(1校)
学校名 | 偏差値 | 募集定員 |
薩摩中央高校 | 36-42 | 2人 |
地域みらい留学365(高2留学)はどうやったらできる?
地域みらい留学365(高2留学)の仕組み・流れ
地域みらい留学365スタートまでの大まかな流れを紹介します。時期の目安も入れるので参考にしてくださいね。
STEP1:地域みらい留学Webサイトで会員登録(高1の5月〜6月頃まで)
まずはじめに、地域みらい留学のWebサイト(こちら)で会員登録を行います(*留学イベントや学校説明会の情報などをチェックするためには、会員登録が必要です)。
時期の目安は、高校1年の5〜6月頃まで。学校説明会など留学関連のイベントは毎年6月〜9月頃に行われるので、それまでに会員登録を済ませておくと安心です。
STEP2:留学先の高校について調べる(高1の6月〜8月頃)
地域みらい留学で留学できる高校について調べましょう(前の章のリスト参照)。学校のHPなどを見て、学校の立地や規模、雰囲気などをチェックしましょう。
また毎年6月頃になると、地域みらい留学のWebサイト上に各学校の留学に関する詳細情報がアップされます。
各学校の教育課程、留学中の住居タイプ、かかる費用、年間活動内容などをチェックして、留学したい高校をリストアップしておきましょう。
▲地域みらい留学365のガイドブック。公式ウェブサイト上で閲覧できます。
STEP3:学校説明会など留学イベントに参加する(高1の6月〜8月頃)
地域みらい留学では、参加高校の学校説明会などさまざまな留学イベントを実施しています。コロナ禍の現在ではイベントのほとんどがオンライン(WEB上)開催で、参加はもちろん全て無料です。
実施時期は6月〜8月頃。地域みらい留学のWebサイトで最新のイベント情報をチェックして、積極的に参加しましょう。
STEP4:留学準備エントリーを行う(高1の8月末頃まで)
保護者との相談の上、留学する意思が固まり志望校が絞られてきたら(1〜2校)、地域みらい留学のWebサイトで『留学準備エントリー』を行います。
地域みらい留学365では、『学校間連携』という仕組みを利用します。
留学実現に向けて、在籍校と留学校の間で連携を取りながら諸々の確認と調整を進めていきますが(詳細は次のSTEP5を参照)、留学準備エントリーを行うと、地域みらい留学の事務局からさまざまなサポートを受けることができます。
留学準備エントリーをすると、地域みらい留学の事務局から在籍校の担任の先生に案内が行く仕組みになっているので、留学エントリーをしたらすぐに(もしくはする前に)留学する意志を在籍校の担任に伝え、事務局から連絡がくる旨を伝えましょう。
STEP5:在籍校と志望する留学校間で確認・調整を行う(高1の9月末頃まで)
必要に応じて地域みらい留学事務局のサポートを受けながら、在籍校と留学校の間で留学実現に向けて諸々の確認と調整を行っていきます。
確認・調整の流れとしては、在籍校から留学先に連絡をとる形になります。
おもな確認・調整事項
- 履修計画について
高校3年間でスムーズに高校を卒業できるよう、3年間を通した履修計画を在籍校・留学校の両校で確認します。
留学先の高校で高校2年次に修得した単位は在籍校でも認められますが、教育課程(何年次に何の科目を何単位履修するか)は学校によって異なるため調整が必要です。
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在籍校で高校2年次に設定されている科目が留学先の高校で履修できない場合、「地域みらい留学365の期間中に該当する科目を留学校で開設する」「在籍校で地域みらい留学365の終了後に該当する科目の履修を認める」などの対応が必要になります。
- 学習評価および指導要録の記載について
留学中の学習評価も在籍校で行うため、留学校と在籍校の間で学習評価の記録方法や伝達方法、頻度などを調整します。
- 徴収する費用について
留学中も生徒の籍は在籍校に置いたままなので、授業料など在籍に必要な費用は在籍校に納入することになります。在籍校にて高校2年次に徴収される費用(授業料以外)について留学することで不要になるものは徴収しないなど、費用に関する確認を両校間で行います。
- 生徒の安全配慮について
生徒の健康情報の引き継ぎ、緊急連絡方法、保険の加入状況などについて両校で確認します。
- 両校間の連携について
災害が起こった場合、特別な事情によって留学の継続が困難になった場合などに備えて、両校間の連絡がスムーズに取れるよう連携体制を整えます。
*詳細は『地域みらい留学365 ガイドライン』を確認しましょう(←リンク先は2021年版のデータです)。『地域みらい留学365 ガイドライン』は、地域みらい留学Webサイト(ガイドブックのページ)にアップされているので、最新のものをチェックしてくださいね!
地域みらい留学365の一次募集期間は、例年10月頭〜10月末頃に設定されていますが、一次募集の応募条件は「応募前に在籍校・留学校の両校間で調整が開始され、調整の目処がついていること」となっています。
なので、必ず一次募集期間(10月)までに在籍校と留学校に確認し、調整を行いましょう。
STEP6:『一次募集』に応募する(高1の10月頃)
STEP4の調整・確認を済ませた上で、志望する留学校に応募エントリーを行います(第2志望まで応募可)。応募は生徒本人・保護者ではなく、在籍校から留学校に行う形になります。
応募条件や応募書類、検査方法などは留学先の学校によって異なるので、しっかり確認して準備しましょう。
各校の応募に関する詳細情報、また2022年(2023年春進級)の一次募集期間などは「地域みらい留学Webサイト」上に6月中旬頃にアップされます。
STEP7:検査〜検査結果の通知・最終手続き(高1の11〜12月頃)
留学校にて一次募集の検査が行われます(11月上旬)。検査方法は、書類審査と面接(現地またはオンライン)になります。
審査の結果は留学校から在籍校に通知されます(11月中旬)。
留学への参加が承諾されたら、最終手続き(12月)に向けて両校間で確認・調整を進めていきます。
一次募集の結果が不可だったとしても、状況に応じて繰り上げで参加が承諾される場合もあります(留学が決定した生徒が辞退するなど)。また、留学先校において個別に『二次募集』を行う場合もあります。
地域みらい留学365(高2留学) 倍率はどのくらい?難しいの?
地域みらい留学365の各学校の応募人数は公表されていないため実際の倍率はわかりませんが、どの学校も募集定員が1〜4人程度なので、人気校の場合はどうしても高い倍率になることが予想されます。
留学したい学校が絞られてきたら、最新の入試要項を自治体や学校のHPでチェックしたり、説明会に参加したり、積極的に情報を集めるようにしましょう。
地域みらい留学365(高2留学) 2022年最新 学校説明会・フェスタ情報
*地域みらい留学Webサイトより画像引用
2022年5月末時点で決定している地域みらい留学365の留学イベントは以下のとおりです。
参加は無料ですが、事前の申し込みが必要です。早めに会員登録を済ませて、エントリーしてくださいね。
6月19日(日) | 留学説明会 |
7月10日(日) | オープニングセッション *留学検討者は参加必須 |
7月24日(日) | 留学説明会 |
8月7日(日) | オープニングセッション *留学検討者は参加必須 |
また学校別説明会や学校個別相談会も7〜8月にかけて実施される予定です。地域みらい留学のWebサイト(高2留学→イベント一覧ページ)で最新の情報を必ずチェックしましょう。
いかがでしたか?
地域みらい留学365(高2留学)は、都会を離れてのびのびと高校生活を送りたい人、環境をガラリと大きく変えたい人、親元を離れて自立したい人、とにかくチャレンジしたい人など、いろいろな人にとって高校生活の新たな選択肢の一つになるでしょう。
日本にはまだまだ素晴らしい地域、高校がたくさんあります。少しでも興味のある人は、Webサイトをチェックしたり、留学イベントに参加したり、まずはじめの一歩を踏み出してみてくださいね!
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